東海メールクワイアー

 1946年6月、名古屋の合唱好きの男たちが集まり、市内昭和区の東海教会を拠点に、その名もここに因んで「東海メールクワィアー」として発足した。爾来、一般社会人の男声合唱団として活発な活動を行ってきた。現在、団員は40名弱(中には転勤などで当地を離れたのちも在籍、遠方から活動に参加する豪の者も数人)、78年の歴史と伝統を誇りうる、ゆるぎない地歩を築き上げるに至った。
 定期演奏会も1952年に第一回を開催以来、2024年で65回を数える。男声合唱の振興活動にも力を注いでおり、1973年、他の有力合唱団と語らって日本男声合唱協会(JAMCA)を設立、現在、その事務局を引き受けるなど積極的な役割を果たしている。
 1950年には全日本合唱コンクールに東海代表として初出場。その後、中部代表として1960年山田昌弘先生の指揮により「しろい火の姿」(清水脩作曲)で初優勝し、更に1964年から66年まで水谷昌平先生の指揮により3年連続優勝を成し遂げた。そして1968年には「走れわが心」(大中恩作曲)で、1971年には「ダムサイト幻想」(中田喜直作曲)により、それぞれ芸術祭奨励賞を受賞するなど、この時期は、いわば第一次の黄金期であった。
 しかし、その後には挫折と分裂の危機が訪れ、忍苦の時代が久しく続いた。
 1989年から常任指揮者制を廃し、以後、その年毎の企画に従ってその指揮者をお願いする、という独特のスタイルをとるようになり、その過程で故田三郎先生との出会いがあった。先生から厳しくも愛情にあふれるご指導を受けて我々は大いに感化され、合唱に対する姿勢にも変化が現れるようになった。そしてこれと相前後して、須賀敬一、その後松原千振、更に飯沼京子、今井邦男という4人の素晴らしい先生方の指導を受ける好運に恵まれ、これによってふたたび今日のような隆盛を取り戻すことができたといえよう。
 これまでに指揮者として、菅川晋、比嘉ウタ、横井園生、山田昌弘、山田和男、畑中良輔、水谷昌平、大中恩、清水脩、福永陽一郎、北村協一、磯部俶、三宅洋一郎、稲葉祐三、植松峻、永友博信、石井歓、田三郎、須賀敬一、松原千振、阿部昌司、三木稔、鈴木茂明、新実徳英、飯沼京子、田中信昭、松下耕、今井邦男、伊東恵司、アンツ・ソーツ、アグネス・グロスマン、M津清仁、倉橋亮介、今木智彦、清水敬一と、実に多くの先生方にお願いしてきた。
 又、作曲家自らの指揮による演奏を中心に据えた定期演奏会も数多く実施してきた。すなわち1990年の石井歓、1993年の大中恩、1991、94、96年の田三郎、1998年の三木稔、2000年の新実徳英等々多くの錚々たる先生方のいわば自作自演をお願いしてきたのであるが、こうしたことは前述のように常任指揮者制を廃し、現行の方式をとるようになったからに他ならない。
 1959年頃からは委嘱作品に力を入れ始め、何人かの先生方に作曲をお願いしているが、中でも清水脩、大中恩両先生にお願いした作品は、今日我が国男声合唱界の重要なレパートリーとなっているといってよいであろう。
 レコーディングとしては、畑中良輔先生指揮の清水脩作曲「月光とピエロ」、大中恩先生指揮の大中恩「走れわが心」、福永陽一郎先生指揮の大中恩「ヴェニス生誕」等を吹き込んだものを始めとして数点あげることができるが、2001年から「典礼聖歌」その他の田作品のCD化及び楽譜の刊行も手掛けるようになった。
 定期以外の演奏活動も活発多彩で、海外遠征は1997年、2001年及び2006年の3回にわたりエストニア、フィンランド、ラトヴィア、スウェーデン及びノルウェー各国の首都等で公演。加えて北欧系音楽では1998、99両年に松原千振先生の指揮・解説による「フィン・ウゴル合唱音楽の源流をたどる」と銘打ったレクチャーコンサートを2回実施した。このほか、1998年名古屋フィルハーモニー交響楽団第234回定期演奏会で黛敏郎作曲「涅槃交響曲」(岩城宏之指揮)に、又、《田三郎作品による"ひたすらないのち"演奏会》(2000年東京、03年仙台、05年名古屋)にもそれぞれ出演している。《男声による典礼聖歌教会演奏会》を2001年以来、名古屋、東京、仙台などで行った。更に2005年から全国の男声典礼聖歌愛好者と共に練習する”典礼聖歌合宿”を主催し、その波は今や全国に広がりつつある。2010、13年にはローマ・ヴァチカンを訪問し、サン・ピエトロ大聖堂専属のジュリア聖歌隊と共にサン・ピエトロ大聖堂にてグレゴリア聖歌と典礼聖歌を捧げる機会を得た。またローマ市内のサンタ・チェチーリア音楽院ホール、サンタンドレア・デッラ・バッレ教会においてパレストリーナと田三郎作品を取り上げるコンサートを行った。
 以上のほか全国持ち回りで実施されている前述のJAMCA演奏会への出演、他団体の公演への参加・客演など枚挙にいとまがない。
 なお、他の古参団体同様、今後の団員の高齢化は不可避的との見地から2006年には若手の育成を図るため”東海メールユースクワィアー”を立ち上げ、2012年には”ワンステージメンバー”制を開始し、現在”東海メールクワィアージュニア”立ち上げに向けて活動している。
 敗戦後1年も経たぬ激動の時代に呱呱の声をあげて73年。幾多の試練を経て我々が今日のような隆盛を取り戻したのは故田三郎先生及び前述の指導者その他多くの先生方のお蔭である。我々は、今後も「田音楽」の正統派をもって任ずべく一層の精進を続けていくことはもちろんであるが、「北欧合唱音楽の探求」と「委嘱作品演奏」等との均衡調和を図りつつ、着実に活動を展開していきたいと念じている。

東海メールクワィアー・スタッフ
会長都築 義高
副会長鈴木 順
団内指揮者鈴木 順
高木 秀一
嶋田 浩文
合唱連盟村瀬 輝恭
曽我 雄司
JAMCA奥村 祐一
総務金森 譲
曽我 雄司
会計来川 眞治
定演会計山田 潤
会計監査徳永 達弥
パートリーダーT1永岡 衛
T2嶋田 浩文
B1沢田 英一
B2大塚 康徳
パートマネージャーT1村瀬 輝恭
T2金森 譲
B1沢田 英一
B2大塚 康徳
合唱資料室室長村瀬 輝恭
WEB担当清水 一郎
ワンステージメンバー担当高見 是久
ピアニスト内匠 慧


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Ichiro Shimizu <i-shimizu@music.email.ne.jp>
Created: 06/02/1996, Updated: