東海メールクワイアー

 東海メールクワィアーは、1946年6月、名古屋の合唱好きの男達が集まり、市内桜山の東海教会を拠点として創立された。(「東海メールクワィアー」の名は、実にここに由来している。)
 爾来、一般社会人の男声合唱団として名古屋を中心に活動を続けてきた。そして今日では、団員約70名を擁し、50年を超える歴史と伝統を誇り得るようになった。
 定期演奏会も1952年に第1回を開催以来、2001年現在で44回を数える。
 男声合唱の振興活動にも力を注いでおり、1973年他の有力合唱団と語らって日本男声合唱協会(JAMCA)を設立した。現在、その事務局を引受け、会の活動に積極的に貢献している。
 1950年全日本合唱コンクール全国大会に初めて東海代表として出場した。その後、1960年山田昌弘先生の指揮により「白い火の姿」清水脩作曲)で初優勝し、続いて1964年から66年まで水谷昌平先生の指揮により3年連続全国優勝を成し遂げた。そして1968年には「走れわが心」(大中恩作曲)により、1971年には「ダムサイト幻想」(中田喜直作曲)により、それぞれ芸術祭奨励賞を受賞するなど、この時期は、いわば「黄金期」にあったといってもよかろう。
 しかし、その後には挫折と分裂の危機が訪れ、忍苦の時代が久しく続いた。正に危急存亡にかかわる時期であった。
 1989年から常任指揮者制を廃し、以後、その年、その年の企画に従ってその指揮者をお願いするという独特のスタイルをとるようになった。この過程において、故田三郎先生との出会いがあった。先生から厳しくも愛情あふれる御指導を受けて我々は大いに感化され、合唱に対する姿勢にも変化が現われるようになった。更に、これと相前後して須賀敬一、松原千振両先生という素晴らしい指導者に恵まれたことにも与って、再び今日の隆盛をみることができるようになったといってよい。
 これまでに指揮者として、菅川晋、比嘉ウタ、横井園生、山田昌弘、山田和男、畑中良輔、水谷昌平、大中恩、清水脩、福永陽一郎、北村協一、磯部俶、三宅洋一郎、稲葉祐三、植松峻、永友博信、石井歓、田三郎、須賀敬一、松原千振、阿部昌司、三木稔、鈴木茂明、新実徳英、飯沼京子と実に多くの先生方にお願いしてきたが、これは、前述のように常任指揮者制を廃し、現行のスタイルをとるようになったことに因るところが大きい。
 そして、作曲者自らの指揮による演奏を中心に据えた定期演奏会も数多く実施してきた。即ち1990年に石井歓、1993年に大中恩、1991,94,96年に田三郎、1998年に三木稔、2000年に新実徳英と錚々たる先生方による、いわば自作自演をお願いしてきた。
 1959年頃からは委嘱作品にも力を入れ始め、何人かの先生方に作曲をお願いしたが、中でも清水脩、大中恩両先生にお願いした作品は、今日、我が国の男声合唱界における重要なレパートリーとなっているといって過言ではあるまい。
 委嘱作品は、清水脩「青い照明」(1959年)を始め十数曲あるが、最近のものでは田三郎「渡辺直己短歌集」(1996年)と千原英喜「東海道中膝栗毛」(2001年)がある。
 レコーディングとしては、1969年に前年芸術祭奨励賞を受賞した大中恩作曲「走れわが心」を水谷昌平先生の指揮により、清水惰作曲「月光とピエロ」等を畑中良輔先生の指揮により、同じく「黙示」及び「阿波祈祷文」等をいずれも水谷昌平先生の指揮によって行なったほか、1981年に大中恩作曲「ヴェニュス生誕」を福永陽一郎先生の指揮により行なっている。
 演奏旅行には、東京、大阪、福井、金沢等々全国各地へ毎年のように出かけているが、海外遠征として1997年5月、北欧ヘルシンキ(フィンランド)及びタリン(エストニア)へ、2001年5月はその第2回としてリガ{ラトヴィア)とストックホルム(スウェーデン)へ出かけた。二回共、現地で合唱関係者等との交流を深めるなど有意義な旅行であった。
 このほか、松原千振先生の解説・指揮によるレクチャーコンサート「フィン・ウゴル合唱音楽の源流を探る」を1998、99年の2回に亙り実施。1998年2月の名古屋フィルハーモニー第234回定期漬奏会で黛敏郎作曲「涅槃交響曲」に、2000年5月の「高田三郎作品による『ひたすらないのち』コンサート」、2001年2月の「須賀敬一とその仲間たちのジョイントコンサート」にそれぞれ出演するなど、定期演奏会以外にも活発な演奏活動を展開している。また「男声による典礼聖歌教会演奏会」を、2001年11月の「名古屋・主税町教会演奏会」を第一歩として各地で開くことを望んでいる。
 我が東海メールは、敗戦後1年も経たぬ激動の時期に呱呱の声を上げて以来五十幾星霜。今日のような隆盛を再びとり戻すことができたのは、今は亡き田三郎先生を始めとする諸先生方のお陰である。
 今後も我々は、田音楽の正統派を目指し、又、そのことが世間一般にも広く認められるよう、更なる精進を続けてまいりたい。

東海メールクワィアー・スタッフ
会長都築 義高
副会長鈴木 順
副会長永井 雄治
指揮者鈴木 順
指揮者高木 秀一
ピアニスト津野 有紀
総務中嶌 暁
総務川瀬 治通
総務金森 譲
渉外杉江 正裕
渉外曽我 雄司
付属資料室長村瀬 輝恭
会計辻 純一郎


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Ichiro Shimizu <i-shimizu@music.email.ne.jp>
Created: 06/02/1996, Updated: